節制の基本的なキーワード
ポジティブな意味
節制、適量、自制、調和
ネガティブな意味
控えすぎている、譲歩しすぎている、八方美人、人に流される
エレメント
火
節制のキーワード解説
このカードでは、天使が二つの盃を持ち、片方から片方へ液体を注いでいる構図が描かれています。
この構図は西洋社会で古くから言われている枢要徳の一つ「節制」のシンボルとして、よく見られる構図です。
こういった背景から、このカードは文字通り「節制」を意味していると言われています。
節制は無理に我慢することではない
節制というと、「欲張らないこと」「我慢すること」をイメージする人が多いですが、このカードが示しているのはそういうニュアンスではありません。
少なくとも「本当は我慢したくないのに無理に我慢すること」ではありません。
このカードが示す節制とは、ただただ「現実を見ること」「そして楽になること」です。
人生は思い通りにならなくて当たり前。
空が思い通りに晴れないからといって、いちいち大げさに悲しむ人はいません。
空は「自分の思い通りにはならないこと」が前提になっているからです。
しかし人間は、テーマが「自分の人生」になるとついつい「思い通りになること」を前提に考えてしまい、それが苦しみを生む理由になっています。
よく「片思いがうまくいかないこと」を悲しむ人がいます。
しかし冷静に考えてみると、これはとてもおかしなことです。
片思いがうまくいくかどうかは、「相手」という自分では制御できない要素が関係しているのですから、時にはうまくいかないケースがあるのは当たり前です。
そう考えれば、そもそも片思いなんて「うまくいかなくて当たり前」「うまくいけばラッキー」程度のものであるはずです。
あなたは日頃から、そんなにモテる人なのでしょうか。
自分が好きになった相手には、必ず相手からも好意を返してもらえるほど、価値ある人間なのでしょうか。
…違いますよね。
だったら時には「うまくいかない片思い」に出会うことだってあるはずです。
そんなのは「当たり前のこと」であって、いちいち大げさに悲しむことではないはずです。
このように考えていくと、何かが思い通りにならなくて苦しんでいる人は、根底に「身の程知らずな期待」があることがわかります。
これに気づけると、人は謙虚になれます。
謙虚になれると、思い通りになっていないことを、受け入れられるようになります。
すると心が楽になります。
前を向くことができます。
世の中、「かくかく、しかじかあるべきだ」という思いこみをたくさん持てば持つだけ、不自由になります。
たとえば、
「家族は私に優しくあるべきだ」
「あの人は私の立場を理解するはずだ」
「私は、当然感謝されるべきだ」
等々。
思いこみが多いと、事実がそれにそぐわない時、苦しみも多くなるものです。
「優しくしてくれるに、こしたことはない」
「理解してくれたら、もうけもの」
「感謝されたら、ありがたい」
くらいに考えておくと、心が自由になるから不思議です。
それは結局、思いこみというのは、その実現において他人に依存する部分が多いからでしょう。
by「幸せはあなたの心が決める」より
節制のリーディング例
このカードが出たとき、相談者はこんな状態になります。
「現状に満足する」
「自然体で、とてもリラックスした気持ちになる」
恋愛について占っていたとしても、仕事について占っていたとしても同じです。
これまでの「あぁなってほしい」「こうなってほしい」という考えがなくなり、ただただ今あるものに満足している状態になります。
このカードは火のエレメンタルであるため、同じ火のカードと並んだ場合は、その意味をさらに強めます。
例えば「力」のカードと隣接した場合、「現状に満足できる穏やかな心」と「不屈の闘志」が両立されることになるため、悟りを開いたような覚醒状態へと至り、これまでの自分では考えられなかったようなとてつもない潜在能力が発揮できるかもしれません。
ただし、水や土のカードと並んだ場合は、悪品位となります。
例えば女教皇と隣接した場合は、「女性原理的な考え方」+「控えること」で、「己を控えすぎていること」「譲歩しすぎていること」などを意味します。
ただしカードテーマそのものが火と水の融合であるため、小アルカナからは影響を受けないとされています。